君が呼ぶから帰ってきたよ
私がそう言うと康太はまた歩き出した。


私が消える。


それはいずれ来る運命だ。


だけど正直私もそれは怖い。


死ぬ時は眠るようだった。


深く深く海に沈むように眠くなって…そのまま私は息を引き取った。


でも、消える時はどうなんだろうか?


そのあとは?


きっと康太やお母さんや真穂や大津くん、みんなに二度と会えなくなる。


自分の中でその覚悟が出来ていない気がする。


康太の本当の笑顔を見れたらやり残したことはないって言える。


それは嘘じゃない。


でも、叶うならもっとそばにいたい。


そんな口に出してはいけない願いがいつも頭をよぎる。


それを必死に抑える、最近はそんな毎日だ。

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