ハッピーエンダー

いつも女性に囲まれていて、噂では誰とでも寝るプレイボーイ……だなんて言われていたけど。そんな人がどうしてこんなところで潰れているんだろう。

「警察呼ばれちゃいますよ」

プレイボーイといえど相手の素性がわかったため、私はほんの少し警戒心を解いた。隣にしゃがみ、なにか酔い冷ましになるような物を持っていないかバッグを探る。ウェットティッシュが入っていたためそれを一枚取り出し、彼に渡した。彼はそれで目を押さえる。

「あー……気分悪い。あの女、酒になにか盛ったみたいでさ」

あの女って言われても、知らない。とにかく今まで女性と飲んでいて、潰れるようなものを盛られた、ということかな。……やだ、やっぱり危ない人だ。

「それは、お友達ですか?」

「オトモダチ……?」

私の問いかけに、彼は目を隠しながら上を向いてクスクス笑いだす。やがてそれは「アハハハッ」と大きな声になっていったため、「静かにしてくださいっ」と嗜めた。
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