ハッピーエンダー
駅まで一緒に向かい、十分後の電車が来るまで彼とともに待合室に座った。自動販売機や掲示板のごちゃついた小さな駅には、今の時間は人が少ない。
この時間でアルバイト先に連絡を入れ、まだ残っていた店長に直接伝えた。夏休み中のため、ほかに連絡が必要なところはひとつもない。水樹さんは足を組んで黙っていて、電話が終わると、足を解いて私の頭をなでた。
「水樹さん……」
そのまま頭を肩へと抱き寄せてくれたため、それに甘える。
「無事だといいな」
「……はい」
「兄ちゃんに見られる前に俺は戻るから。こんなのと暮らしてるって知られたら心配かけるだろうし」
そんなことはない、と言いたかったけど、きっと兄は眉をひそめて心配するだろう。賛同した私は、ただうなずいた。