溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
「残念ながら」
苦笑いとともに答えると彼は首を少しだけ傾げた。
それでも話を掘り下げることはせず、「立ち話もなんだから」と言って、上座の椅子を引いてくれた。
「ありがとうございます。ですがその前にお聞きしたいのですが、ここでいったいなにを…って、あ!もしかしてご実家のお手伝いですか?」
話しながら当ホテルが吉池家のものだということを思い出した。
兄曰く、一時期、経営が傾き、手放さなければならないような危機に陥っていたけど、彼が投資することで立て直し、さらにアドバイザーを海外から呼び寄せ、経営を右肩上がりにしたんだ、とか。
でも今、彼がここにいるのは家と関係ないことだと言う。
「俺は運命の相手に会いに来た」
「え?」
今、『運命の相手』って言った?
大真面目な顔して?
「フフッ」
「なにがおかしい?」
声の感じから明らかに不機嫌なのが伝わってきた。
「すみません」