溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情

吉池さんとの距離が一気に近くなり、上目遣いであることも相まって、ドキッとして勢いよく顔を背けてしまう。


「失礼だな。こっちを見ろ」

「ご、ごめんなさい」


たしかに失礼な態度だったと謝り、体ごと吉池さんの方を向き、聞く姿勢を整える。　

でも、改めて向かい合うと吉池さんの整った顔立ちと真っ直ぐな視線は近距離で受け止められるものではなく。


「こっちを向けって」

「わわ。本当にごめんなさい。でも、この距離は恥ずかしいし、照れます」


素直に訴えるも、納得いかない様子の吉池さんは私の頬に手を伸ばし、ガシッと両頬を包むと無理矢理視線を合わせるように顔の位置を変えてきた。


「は、離してくださいっ」


吉池さんの手を掴み、外しにかかる。

でも私の力ではびくともしない。


「離したらまた背けるだろ。俺はもう決めたんだ。きみを振り向かせると」

「え？」