溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
そうだ。

今日は里帰り出産で実家に戻って来ている亜未の元に出産祝いを届けに来たのだった。


「絵麻、なにか悩み事でもあるの?話なら聞くよ?」

「ううん。大丈夫。それよりこれ。出産おめでとう。少しだけどお祝い」

「ありがとう」


亜未は手を伸ばそうとしてくれたけど、手が塞がっているのを見て、机の上に置かせてもらい、亜未の手元を覗く。


「可愛いねー」


天使とはよく言ったものだ。

純真無垢な姿はまさに天使そのもの。

大きくてクリクリした目は亜未にとても似ている。

高い鼻は旦那さん譲りだろうか。  


「写真も可愛かったけど、実物はさらに可愛い」

「抱っこしてみる?」

「いいの?!」


笑顔で頷いた亜未の手から赤ちゃんを恐る恐る受け取るとその柔らかさに驚かされた。

甘いミルクの香り。

ジッとこちらを真っ直ぐ見つめる視線。


「うぅ!可愛いぃ!可愛い過ぎるっ!おじさん、おばさんも喜んでるでしょ?」

「初孫だからね。今もふたりしておもちゃ買いに行ってる」


私が来るのを分かっていて気を利かせて席を外してくれているのだろうけど、あえて触れることでもないので頷くに留め、赤ちゃんを見る。

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