溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
真剣な眼差しに低く甘い声。
1日経っても思い出す度、ドキドキする。
お見合い相手だと分かってもどこか兄の友達という意識があって話しやすかったのに、最後の会話で意識はガラリと変わった。
変えさせられたと言う方が正しいかもしれない。
今はもう、彼のことを兄の友達ではなく、恋愛対象、結婚相手として考えているのだから。
ただ、冷静に考えて私なんかよりもっと相応しい女性は他にいるんじゃないかって思う。
「なんでオーケーしちゃったんだろう」
青春時代の淡い恋心は美化される。
同棲を始めて幻滅されたらどうしたらいい?
勢いに負けて頷いたことを今更後悔しても仕方ないのに、これからどうなっていくのか。
「不安だなー……」
正座した状態で肩を落とし、ため息混じりに呟く。
「なにが?」
背後から声をかけられ、振り返るとそこには赤ちゃんを抱いた親友の亜未の姿が。