溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情

「いきなり同棲だもんね。しかもハイクラスの暮らしって、ハードル高いよね」


亜未はスヤスヤ寝ている赤ちゃんを起こさないようにベビーベッドに置きながら続けた。


「でも嫌なら嫌で、その時点で解消出来るんでしょ?それなら多少、気は楽だよね」

「逆も然りだけどね」


私だけが惹かれて2ヶ月後、吉池さんに断られでもしたら立ち直れないし、27にもなって、わざわざ恥をかくようなことも、傷付くような恋もしたくない。


「でも、絵麻なら大丈夫よ。可愛いんだし、吉池さんをメロメロにしてヒルズ内最強の仲良し夫婦になっちゃえ」


親指立ててウィンクなんて。


「他人事だよね」


吉池さんほどの男性をメロメロに出来るくらい可愛いなら彼氏の一人や二人いたっておかしくないっていうのに。


「はぁ」


大きくため息をついたあと、亜未に訴える。


「振られたら慰めてね」

「絵麻の大好きなパンケーキね。いくらでもご馳走するわ。約束」


亜未に差し出された小指に自身の指を絡ませ、それからしばらく、亜未の出産の話を聞き、赤ちゃんの寝顔に癒された。


「報告楽しみにしてる」


亜未の言葉に頷いて見せる気力が出てきたところで実家へ戻り、ひと月分の荷物をまとめることにした。
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