溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
最近は英語を日常的に話せるひとが多くはなって来たけど、専門的な用語を使ったり、複雑な取引を外国の企業と行ったりする場合は通訳が必要となる。

取引に同行したり、テレビ電話で通訳を任せられたり、必要があれば幹部クラスの海外出張にも同行するという生活はプライベートな時間がほとんどなくて、気が付けば体を壊していた。


「英語、中国語の通訳が可能で、現在、韓国語の勉強中です。この経験が御社で活かせるかは疑問ですが、どうぞよろしくお願いいたします」


結びの挨拶まで一気に話し、頭を軽く下げてからまた上げる。

すると吉池さんはフッと笑った。


「『御社』じゃなくて、そこは『結婚生活』が正しいだろうな」

「あ、ごめんなさい。つい」


恥ずかしくて、俯くも吉池さんは「ククッ」とまだ笑っている。


「そんなに笑わなくても」

「悪い。面接みたいだな、って思ったらおかしくて」

「そうですね」


吉池さんが笑顔なのが嬉しくて、私の口元も緩む。

朝は緊張があったし、どんな同棲生活になるのだろうって不安もあったけど、このままなら上手くやっていけそうだ。

好意を言葉や態度で示してくれるし、吉池さんのことを好きになるのはきっと時間の問題だ。

そう、朝ご飯をきれいに完食してくれたのを見て感じた。
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