溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情


「水島。この着物一式すべて購入させてもらう」

「お買い上げ、ありがとうございます」


水島さんが笑顔で答え、女性店員さんがカードに手を伸ばしたのを見て、急いで間に割って入る。


「ちょっと待ってください!私、買ってもらう気は」

「気にするな」


いやいや。

「気にするな」と言われて「はい」と答えられるはずがない。


「そもそもこれ一式って、いったい、おいくらになるんですか?」

「それは絵麻ちゃんが気にしなくていいところだよ。こいつ金は有り余ってるくらいだし、好きな女の子のためならいくらでも払えちゃうんだから」


いやいやいや。

それは水島さんが言うことではないし、気にしなくちゃいけないところだ。

でも、頑なに教えてくれないので、キャンセルが出来るのかを含めて着物を脱ぐ際、店員さんに金額を聞いてみることにした。


「着物だけで100万円ほどかと」

「ひゃ、100万円?!」


信じられない金額に声が裏返ってしまった。


「すぐ脱ぎますっ。それとキャンセル!キャンセルは出来ますか?!」

「今でしたらまだ出来ますが…でも」


困った様子の店員さんは吉池さんたちがいるであろう店舗の方に視線を向け、それから「少しお待ち下さい」と言い残し、店先へと出て行った。

100万円の着物を身につけていると知り、気が気じゃない。

キャンセルしてもらえることを切に願いながら棒立ちで待っていると、店員さんが水島さんと吉池さんを連れて戻って来た。


< 85 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop