溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情
「キャンセルしたいとはどういうことだ?気に入らなかったのか?」
吉池さんが開口一番に言った。
それに対しては首を横に振る。
「このお着物はとても素敵です。着心地も良いし華やかなのに落ち着きもあって、きっとパーティーにも相応しいものなのだと思います」
「それならなぜ?」
吉池さんが眉間にシワを寄せ、首を傾げた。
でも吉池さんの疑問の答えを店主の前で言うのは憚れて、水島さんの方を見ると視線に気付いた水島さんがにこりと微笑んだ。
「ここ、使っていいからふたりで話すといいよ。ただし、イチャつくのは禁止ね。買う、買わないが決まったら出て来て」
「ありがとうございます」
水島さんに会釈しながらお礼を伝えると、ウィンクで応えてくれて、店員さんと一緒に席を外してくれた。
「それで?」
ふたりが出て行ったのを見届けてすぐ、吉池さんが話を振ってくれたので、キャンセルしたい理由を口にする。
「着物なら実家にあります」
ドレスコードが着物だと聞いて、私は実家の着物を着ればいいと考えた。
「私は一度きりのことに100万円も出す金銭感覚が分かりません」
「安ければいいと?」
そういうことではないと首を横に振る。