飼い犬は猛犬でした。


「あの、わたし……そこのメイドカフェでバイトしてるんです。よかったら今度来てください」
「いいんすか……? 俺が行っても」


「もちろん」

 そう微笑むと、彼はとても嬉しそうにガッツポーズをしてみせた。



「じゃあ……今度行きますね! 俺のこと、忘れないでくださいよ!」



 そう言って手を振る彼に、わたしも笑顔で手を振り返す。




「あ……名前聞くの忘れちゃった」



 でも……今度お店で会えるよね……?
 その時にでも名前を聞こう。

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