飼い犬は猛犬でした。
* * *
今日もいつもの校門を抜けて、校舎へ向かう。その途中で女子たちの歓声が聞こえてくる。
見なくても分かる。涼輔くんだ……
「涼輔くん、つめたーい。彼女いないんだからいいじゃん!」
冷たい……? 涼輔くんが……?
「俺、好きなヒト以外には優しくしねーから」
えっ……
思わず振り返ると、涼輔くんと目が合う。
やだ、こんなの……わたしに言ってるみたい。
――勘違いしそうになる。
どうしてこんなに胸が高鳴っておちつかないの……?
こんなのわたしらしくないのに。