勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「こっち向いて、彩梅」




こ、これは本気で怒らせてしまったのかも!




その低い声に、怒られることを覚悟してぎゅっと目をつむると。




「俺たち、また会える?」




耳元に響く九条さんの甘い声。




「え?」




「会ったばかりでこんなこと言っても、



信じてもらえないかもしれない。



けど、庭園で彩梅を見かけたときに、



時間の流れが止まったような特別なものを感じた。



俺は、彩梅ともっと一緒に過ごしたいって思ってる」




「あ、あ、あ、……」




ど、どうしようっ!




まだ、高校生だってことを伝えてない!




「代理で来た彩梅に、



結婚するつもりがないことはよく分かってる。



けど、俺とのことを真剣に考えてほしい」




「ご、ごめんなさい!」




九条さんから一歩はなれて、頭をさげた。



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