勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「冗談に決まってるだろ。ほら、手かして」



……?



言われるままに、



九条さんの大きな手のひらに指先をのせてみると。




「『お手』じゃなくて、手をつなぐんだよ!」




呆れる九条さんにぎゅっと手を握られた!




「ふえっ⁈」




「手つないでおかないと、



また、ほかの男にまとわりつかれるかもしれないだろ」




「で、でもっ!」




「彩梅のリード代わりだよ」




九条さんは平然としているけど、



ドキドキしすぎて心臓破れそうです……。




「どうした、彩梅?」




「な、なんでもないですっ」




「迷子になるなよ」




ふわりと笑う九条さんは、



いつもキラキラとまぶしくて



手の届かない『許嫁』。




そんな九条さんに、ドキドキしてばかりの毎日です。




はじまりは3か月前……。


< 4 / 250 >

この作品をシェア

pagetop