勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「お、おじいちゃん、……正式にって、どういうこと?」





「ふたりの結婚に向けて正式に縁談をすすめる、


ということだよ。


まあ、彩梅さんと千里の結婚の準備に入るってことだね」





優しく諭すように、


九条さんのお祖父さんが説明してくれたものの。




……正式に? 縁談をすすめる?




……結婚の準備?




言っていることの意味が全く分かりませんが?





「つまり、お前たちふたりは、夫婦になる」





………………は?




「じ、じーさん、勝手に決めんなよっ!」




「おじいちゃん、な、なにを言ってるの!」




九条さんと同時にガタンと立ち上がると。




「「お前らが口を出すことじゃない!」」




おじいちゃんふたりが、ビシリと言い放った。




……ほえ?




結婚って、自分たちで決めること、じゃないの?





「この縁談は、九条家と西園寺が代々果たせずにきた悲願」





「私たちの代で実を結ぶなんて、これで先代にも顔向けできる」





うっすらと涙すら浮かべているおじいちゃん達に呆然。





「どういうことだよ」




「そ、そうだよ、そんな一方的に!」




「「黙りなさい」」




怖っ!




おじいちゃん達の凄みの利いた声に怯えて、



体を縮める。




< 42 / 250 >

この作品をシェア

pagetop