勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「ん? なにが不満だ?」




不満だらけに決まってるっ。




「私、これから期末テストだって中間テストだってあるんだよ? 



秋には内部進学の審査もあるし。



婚約とか結婚なんて、いくらなんでも現実的じゃないよ!」




「期末テストって……」





隣では九条さんが絶句している。





「いつかは彩梅も西園寺家のために



見合いをすることになるんだから、遅かれ早かれ同じことだろう?」




「で、でも、それはもっと大人になってからの話でしょう? 


結婚なんてしちゃったら、


私、本当に高校やめさせられちゃうよ!」




「校則だろうが、法律だろうが



そんなのは、どうにでもなる。



そもそも女学院の創設に西園寺家がかかわってるんだから、



心配する必要なんて全くないだろう」





校則も法律も、



そんな勝手な都合でどうにかしていいものじゃないと思う!




「とにかく、今日から千里くんの許嫁は、お前だ」




「そ、そんな」




じいっとお祖父ちゃんを見つめると、



般若のような形相で睨み返された。




ひょっえええええっ……




とっても怖いです……





で、でも、このままだと大変なことになっちゃう!




ぐぐっと唇をかみしめて、考えを巡らせていると……




「申し訳ありませんが、



自分も学生の身分で結婚自体を考えられる立場ではありません。」





さ、さすが九条さん!




九条さんが毅然とした態度できっぱりと言い切ったそのとき、



家の前で車が止まる音が聞こえた。




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