勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
車で移動して、おじいちゃんに指定されたお店の前で、



九条さんとふたりで立ち尽くす。




「ここ……ですか?」




「いや、ここ?」




おじいちゃん達が予約を入れるなら、



料亭とかお寿司屋さんとかそんなお店を想像していたけれど。





「間違え、ないよな?」





「た、ぶん?」





私たちの視線の先には、はちみつ色に塗られた外壁に、



ピンク色のフワフワとした文字で



「LOVELY HONEY パンケーキ 彩」と飾られた



世にも可愛らしいお店が!




ハートの風船がいくつも浮いている入り口の前で、数分が経過。




「か、かわいい、お店、ですね?」




「……じじい達、ふざけすぎだろ。べつの店、探そう」




眉を寄せて車にもどろうとした九条さんの腕を、



ぐいっとつかんだ。




「で、でも! もう予約、しちゃってるし」




「え?」




「わ、私、ここ、入ってみたい、……です!」




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