メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
それなのに、暖人と出逢ってからの私は私じゃないみたいだ。私の中にもう一人の私がいるみたいと言ってもいいかもしれない。

よく知らない人についていってその人の家に泊まったり、イベントに出たいと言ったり、モデルに挑戦したり、夜遅くに衝動的に人の家を訪ねてしまったり・・・自分からキスをしてしまったり・・・。

今まで自分の気持ちをコントロール出来なくなったことなんてないのに、今までの自分がボロボロと崩れ落ちていくみたいで怖かった。

恋に堕ちる、というのはよく言ったものだ。底が見えないところにずっとずっと落ち続けていくようだった。

ハロウィンの日竹中さんと彼女さんがスタッフルームでしていたような触れ合いを望んでいる私がいて、そんな自分に猛烈な違和感を感じた。

ショーウィンドウに並ぶお洒落な洋服を眺めて、素敵だけれど私には着られないな、と思うことがよくある。その洋服のように世の中のカップル達は皆ガラスの向こうにいてキラキラしている。私は洋服の時のようにただそれを眺めているだけでは満足できず、ガラスの向こう側に行きたくてたまらなかった。

何かに夢中になってみたい、ずっとそう思っていたのに、いざそうなると戸惑う気持ちの方が大きくて、変化した自分を受け入れられないでいた。私はなんて臆病者なんだろう。
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