メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「いくら才能があって周りが『その道に進んだ方がいい。』って思っても、一番大事なのは本人の意志だからさ。逆もまたしかりで、『そんな道進むんじゃない。』って言われても、本人が進みたいならそっちに進めばいい。そいつの人生生きてるのはそいつ一人だけなんだから。時間は元に戻せないんだから、その時の自分の気持ちを大事にしなくちゃ。夢も恋愛も同じ。ほしいものには手を伸ばす!」

手を前に勢いよく伸ばす玲央を津村は羨ましいとも微笑ましいとも言えるような、優しげな表情で見た。

「その考え方は素晴らしいと思う。でも、『彼女の幸せが自分の幸せ』っていう考え方もあるんだよ。」

「え~何それ。ショートケーキの苺、残すだけじゃなく誰かに譲っちゃうわけ?影から彼女の幸せを願ってる自分、てのに酔ってるんじゃないの?きも!ただの意気地無しに見えるけど。」

「身を引くのも勇気、なんだよ。」

津村は悟ったように言った。こいつ、過去に何かあったのだろうか。

「え~そんな勇気要らないよ~。よし!今夜はお前ら二人のその弱っちい心を俺が鍛え直してやるよ!酒持って来~い!」

「酒持ってきたらお前一瞬でバタンキューだろうが。」

玲央に突っ込むと津村がハッとしたように口を開く。

「そう言えばさっき流しちゃったけど、暖人くん、ハコイリギフトと契約したなんてすごいじゃないか。」

「そうだよ~!てか、才能ないとか言うけどさ、ハルの時計いいなって思うからうちの会社に置きたいって頼んだんだからね。それに収入がどうとかくだらないこと言ってたけど、あそこと契約したらバッチリ安定じゃん!」

玲央が席から身を乗り出して俺の肩をどん!と叩く。

「必ず上手くいくとは限らねーだろ・・・ずっと契約してもらえるかもわからねぇし。」

「んもォ、ハルったらそんな怖い顔してほんっと、弱気なんだからァ。アタシが手取り足取り指導して強い男にしてあ・げ・る☆」

「・・・ぷっ!何で急におネエなんだよ・・・似合うけど。」

クネクネし出した玲央に思わず吹き出してしまった。・・・いや、別に楽しくはないけど。でも今日こいつらと会えて良かったと思った。
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