メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「まさか、東京生まれ育ちのやつを、月島・浅草案内することになるなんてな。」

朝から熱くて甘ったるい時間をたっぷり過ごしてしまったせいで出発が遅れてしまったが、月島でもんじゃ焼きをはしごし、浅草に着いたところだった。

「いつでも行けるとなるとなかなか行かないものなんだよね。」

「まぁ、それもそうかもな。」

雷門を入り仲見世通りに着き、横道にも入りつつ、食べ歩きグルメを食べたり土産屋を見たりしてゆっくりと奥の浅草寺に向かっていく。

雷おこし、きびだんご 、メロンパン 、せんべい 、メンチカツ 、アイスもなか、人形焼などを食べ、杏花が一番気になっていたという揚げまんじゅうの店にやってきた。

「わー全部美味しそう。全種類食べたいな。」

「全種類!?10種類くらいあるぞ!?」

「・・・なんかね、暖人と気持ち伝えあってからいきなり食欲戻ってきちゃって・・・前よりたくさん食べられちゃいそうなの。」

はにかんで言う杏花が可愛い過ぎて、頬の温度が上昇する。

「・・・それは嬉しいけど、明日から研修なんだし腹壊したら困るから全種類は辞めとけ。またいつでも来ればいいだろ。」

「うん。どれにしようかなぁ。」

写真つきのメニューを見上げながら揚げまんじゅうを選ぶ小さな後ろ姿を見つめてから俺は携帯を取り出しメモ帳を開く。
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