メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「さて、どうしてやろうかな。」

暖人に体当たりして仰向けに倒した。彼に覆い被さり、初めて彼の家に泊まった時から甘い触れ合いの時間に幾度となく言われているセリフを言い返してみる。

「私はもう、安定した平穏な毎日は望まない。暖人が心のままに時計を作っていくのをずっと近くでサポートしていたいの。今よりもっと近くで。お店だって一緒に開きたい。うまくいかなくたって構わない。私の未来、暖人のものにしてほしいし、暖人の未来を私のものにして自分の全てで守りたいの。」

「杏花・・・。」

「私、暖人とずっと一緒にドキドキしていたいんだ。」

「変なこと言って悪かった。ありがとう。」

暖人はそう言って私を力一杯抱きしめてくれた。

「私ね、楽しい時だけじゃなくて暖人が苦しい時に一緒に苦しみたい。もし暖人と一緒にいることで辛いことがあっても大丈夫。だって杏の花は寒いところでも咲ける花だ・・・!?」

言っている途中で世界が反転して一瞬青い空が見えた。けれどそれはすぐに暖人の顔で遮られた。唇が繋がる。毎日触れている彼の唇や舌はもはや私の体の一部のようだ。けれど何度触れ合ってもこの胸の高鳴りに慣れてしまうことはない。温かくて心地良くて泣きそうなくらい幸せだ。
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