メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
低温でゆるゆると続いていくはずだった私の日々は、暖人の出現で予測不可能で刺激的な熱いものになった。今私はそんなドキドキする毎日が楽しくてたまらないし、それに伴って自分が変化していくことも嬉しく思っている。

出逢った時に動き始めた私達の時計は離れている間も針を止めなかった。嬉しい時も悲しい時も相手を想って共に時間を刻み、平坦ではない道を手を繋いで歩んで行く。これからも私は暖人に恋をし続けるのだ。

これは、不器用過ぎる私達の、いびつで小さな恋のお話だ。もしスイーツビュッフェに並べたら、他のキラキラした恋に紛れて誰も気づかずに通り過ぎてしまうくらいのものかもしれない。けれど私達にとってはかけがえのない甘い甘い宝物(スイーツ)だ。

止まらない時間の中でたくさんの小さいけれど甘い恋や、家族間の優しい温もり、熱い友情が生まれ、ミルフィーユみたいに積み重なって大きな愛になり未来を作っていく。過去のたくさんの人達が懸命に紡いできた想いが作った未来───今───に私達は生きている。

怖くてもなかなか思うようにいかなくても、自分の中に生まれた想いを大切に温め続けて、明日に、未来に繋げていこう。いつの日かきっとその想いがたくさんの輝く笑顔を咲かせるから。






───『メレンゲが焼きマシュマロになるまで。』 完───
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