メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
───まだ4時か・・・。

杏花が眠った後俺も少しだけ寝たけれどトイレに行きたくなって目が覚めた。その後寝ようとしても眠れない。どうしても隣を意識してしまうからだろうか。気持ち良さそうに眠る彼女の顔を見る。

───あんだけ飲んだのに全く酒臭くねえし。こいつはどうなってるんだ。酒の神様かなんかなのかよ。

本当にこいつは何なんだ・・・。俺が『何もしない。』って言ったのを信じきって、知り合ったばかりの男の家に泊まってこんな無防備に寝て・・・。危機管理どうなってんだ。親が泣くぞ。自分が人から子供っぽいと思われるのがわかっているから、迫られても最終的には手は出されないとでも思っているのだろうか。

にしても『好きにして。』とか意味わかって言ってんのかよ。人のずるさも男のエロさも何も知らない。いくら学生だからって二十歳過ぎてこんなやついるか?他人との間に壁がなさ過ぎだろ。

いや、壁がないだけにこう見えて経験豊富っていうことも十分有り得る・・・今気づいたけれどこいつに彼氏がいたら修羅場になりそうなことをしてしまった。

というかどうして俺はこんなに心を乱されているのだろう。

カフェで飯を食っても良かった。カフェにだって酒はあるし、食事メインで一杯飲むくらいなら周りの目も気にならなかっただろう。なのに酒を飲み倒す気満々の彼女の残念そうな顔を見て思わず家に誘ってしまった。作業部屋なんて絶対人に見せたくないのに見せてしまったし。

それに物心ついた時から大嫌いだった目を『綺麗』だなんて初めて言われた・・・思い出すと心がざわざわして落ち着かない気持ちになる。今まで目のことで色々言われてきた昔の俺達が心の中で輪になって微笑んでいるような気がして戸惑ってしまう。そしてなぜかその輪の中心にはこいつがいる。

こいつは俺の心の中にいつの間にか住みついている。ずっと前からいました、みたいなすました顔をして。

しかもイベントに一緒に出ることになるなんて・・・嫌だと言えばよかったのか?でも俺はまたこいつに会いたい、こいつと関わりたいと思ってしまったんだ。
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