メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
───相談したいけど、爽ちゃん準備とか忙しいだろうし、連絡しない方がいいよね。

「おい、何ボーッとしてるんだ。こんなとこで寝るなよ。飲んだら浴衣借りにフロント行くぞ。足痛いなら部屋戻ってから俺が行ってくるから。」

「ううん、大丈夫・・・ゴホッ」

暖人に話しかけられ焦った私はフルーツ牛乳をガッと飲んでむせてしまった。

「牛乳一気飲みとか小学生かよ。ほんとガキだな。」

彼は笑いながら言ったけれど・・・『ガキ』その言葉はいまやチクリどころではなくグサリと私の心を刺す。どうしたら私のことを女性として対等に見てもらえるんだろうか。隣に座るのも嫌がられたし。

───どうしよう、これくらいのことで泣きそうになるなんて。自分で自分が信じられない。

気持ちをどう処理していいのかわからなくて、思わずぎゅっと目をつぶると、目尻に何かが触れた。

「咳き込んで涙出たか。大丈夫か?」

目を開けると暖人が指で涙を拭ってくれていた。その涙の原因は咳だけでは多分なかった。でもお風呂上がりで火照っていた上に気持ちが(たかぶ)り熱くなった肌に、相変わらず冷たい彼の指が触れた気持ち良さと、彼が触れてくれたことの喜びで、私はお酒を飲んだ時よりもずっとふわふわした気分になったのだった。
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