フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


迷いは、もちろんあった。

だけど……悔しさと悲しみと怒りと……それから、綺麗な夜景に頭が浮かれたせいかもしれない。まともな判断力を失っていたことは確かだ。


「……わかりました。ふりだけ、でいいんですよね?」
「ああ。本気で恋人にならなくてもいいし、入籍しなくてもいい。あくまで人前で恋人らしく、を前提条件にした擬似カップルだ。いわば契約での恋愛モドキだな」

契約……?

プライベートで耳慣れない単語に頭をひねっていると、彼が説明してくれた。

「つまり、普段は好きに過ごせばいいが、人前ではきっちり恋人として振る舞ってもらう。
後はまた決めよう。
口約束でも契約は効力があるからな。
書面化してもいいが、形に残してしまうと誰かに見つかった時にややこしくなるだろう?」
「そうかもしれませんが……」

そして、彼はとんでもないことを言い出した。

「そうと決まったら、アンタはオレのところに引っ越して来い」
「え……は!?引っ越し?なぜ……」
「なぜも、結婚前提なら同棲くらい当たり前だろう。今度の土曜日に引っ越して来い。オレの馴染みの業者にすぐ連絡しておく。アンタはアパートのオーナーに解約の話と転居の手続きを確認しておけ。日曜にはアンタの親に挨拶に行くからな」

そうして、バタバタと慌ただしく数日が流れて……今現在。愛知県の実家にて。両親へ結婚の挨拶にうかがってるというわけでして。

自分でもびっくりな急展開です……。


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