フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約

「失礼ながら、お仕事は何をされてるか伺っても?」

お父さんは、当然と言えば当然の質問をしてきた。
そりゃあ、一人娘の結婚相手なら当たり前に気になる点だ。

というか……

(お父さん、ありがとう。私だと聞けなかったことなの……)

情けない話だけど、あまりに急な生活の変化で真宮さんに聞けなかったことが多すぎた。 打ち合わせは事前にしてあるけど、パーソナルデーターは必要最低限しか教えてもらってない。
仕事は“サラリーマンだ”としか……。

「僭越ながら、アスフォーコミュニティの社長をさせていただいております」
「えっ」

思わず声を出していまい、この場の注目を集めてしまって。隣からは絶対零度のブリザードが吹き付けるような、とてもとても冷たい視線を感じます……ごめんなさい。

「どうしたの、さくら。あなたが真宮さんの職業を知らなかったはずないわよね?」

お母さんの当然の疑問に、慌てて頷いた。

「もちろん、知ってたよ。住まいもすごく立派なレジデンスのマンションでね。最上階に住んでるんだよ。数日前に引っ越した私もびっくりしちゃって……あ」

また、失言に気づいても後の祭り。

“だからアンタは口を開くなと言っておいたはずだ”

そう言いたいだろう、横からの圧が更に強くなったのは言うまでもなく……。

ごめんなさい。

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