長い梅雨が明けた日

そんな関係になった時に、理乃が健二を呼び捨てるのを聞いた。

「健二ってさー」

俺と二人でいた時に何気なく健二の話を始めた理乃。

「…お前、裏では健二のこと呼び捨ててたのかよ?」

中坊のガキだった俺のささやかな嫉妬。

「え?あれ?今、私そう言ってた?」

理乃が自分で気付いていたかは知らないが、理乃は俺以外の男を名前で呼ぶことは無かった。
俺以外の男は全ての名字を呼び捨ててた。

だから理乃に「健二」と呼んでほしくなかった。

けれどそんな事、言える訳ない。

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