御曹司の恋の行方~和菓子王子編~
その日の仕事終わり、夕輝は残務処理をしていた。

職人は朝早くから夕方には帰宅し、販売のアルバイトやパートさん達も閉店後の掃除が終わり帰った。美穂がチラチラ夕輝を見ていたが気づかない振りをした。

静な中で仕事をしていると、『カタッ』と音がした。音の方を見ると、扉を開けて美穂が入ってきたのだ。

「どうした?忘れ物か?」と聞きながらも、夕輝はこの状況を打破する方法を考える。

「いえ。若旦那いえ夕輝さんに話があって…」

もちろん、聞きたくないがまだ何も言われていない今、聞くしかない。でも、何となく美穂とは二人きりではマズイと感じる。

「ちょっと待ってもらっていいか?キリのいいところまで入力したい」と時間を稼ぎつつ、すぐに来てくれそうな人物を思い浮かべる。
パッと浮かぶのは翔だが、翔はドイツだ。

さっき、別件で社長である父親にメールした時に、念の為に美穂の事も報告した事を思い出し、父親にメールを送る。

『ヘルプ。早速動き出した。至急店へ』

昔からモテていた夕輝と親友の翔は、同性や異性からも嫉妬や恋愛の揉め事に危機感を持っていて、早めに手を打つ様にしていたのが、今でも役に立つ事になる。

すぐに父親から返信があった。

『あと10分』と。


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