御曹司の恋の行方~和菓子王子編~
それから30分位して、父親が診察室に呼ばれた。

ふたりがベンチで待っていると、程なくして診察室の扉が開き、父とギブスをして松葉杖をついた母の姿。

「ありがとう御座いました」と診察室の中に父が御礼を言っている。

夕輝と悠里は、母親に駆け寄る。

「母さん大丈夫か?」

「夕輝、迷惑掛けたね。やっぱり、骨折だって」

「ああ。頭とか打たなくて良かったよ。階段から凄い音がした時は焦ったよ」

「不注意だったわ」

「気をつけてくれよ」

「所でこちらのお嬢さんは?」

「初めまして。夕輝さんとお付き合いさせていただいている木下悠里です」

「きゃ~」と嬉しそうな声を上げる母。

「母さん、ここ病院。静かに」と注意する夕輝。

「だって~」と興奮冷めやらぬ母。

「取りあえず、家に戻ろう。俺達も行くから。父さん車?」

「ああ」

「じゃあ、母さんを頼む。俺の車で悠里と家に行くから」

「ああ」

「悠里ちゃん、また後でね」とケガをしたのに嬉しそうな母だった。




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