1日だけの恋~10月25日夜完結~
男は勝手に自分のいるテーブルにやってきたことや、腕時計をしているのに時間を聞いたことを咎めるでもなかった。
自分の腕にはめた高級そうな腕時計を見て無表情に答える。
「……11時12分です」
「ありがとうございます。あの……もうひとつお願いがあるんですが」
周りをキョロキョロと見渡しながら、目の前の男に向けて身を乗り出した。
「お願い?」
新聞を畳んで男は、ホテルのオリジナルコーヒーが半分ほど入っているカップに手を伸ばした。
「はい。実は……今、元カレに元サヤに戻りたいと迫られて困っているんです。彼、ストーカーみたいになってしまって。断わったんですが、うまくいかなくて」
カップを口につけて、ゆったりコーヒーを飲む男。
「……それで?」
膝の上に置いた拳を握りしめた。
「なので、今から少しだけ、ここに座らせてもらってもいいでしょうか?それから……あなたがここを出るタイミングで私も一緒に出ていってもいいですか?」
「……どういうことです?」
静かにカップをソーサーの上に置いた男。
姿勢を正して、男の顔を真っ直ぐに見る。
勝負はここからだ。
自分の腕にはめた高級そうな腕時計を見て無表情に答える。
「……11時12分です」
「ありがとうございます。あの……もうひとつお願いがあるんですが」
周りをキョロキョロと見渡しながら、目の前の男に向けて身を乗り出した。
「お願い?」
新聞を畳んで男は、ホテルのオリジナルコーヒーが半分ほど入っているカップに手を伸ばした。
「はい。実は……今、元カレに元サヤに戻りたいと迫られて困っているんです。彼、ストーカーみたいになってしまって。断わったんですが、うまくいかなくて」
カップを口につけて、ゆったりコーヒーを飲む男。
「……それで?」
膝の上に置いた拳を握りしめた。
「なので、今から少しだけ、ここに座らせてもらってもいいでしょうか?それから……あなたがここを出るタイミングで私も一緒に出ていってもいいですか?」
「……どういうことです?」
静かにカップをソーサーの上に置いた男。
姿勢を正して、男の顔を真っ直ぐに見る。
勝負はここからだ。