俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。
卒業式・・・、本当にこれで終わりだと思うと式の途中涙が出た。

教室での最後のHRも終え校内のあちらこちらで部活の後輩から先輩への卒業記念の贈呈や友達との写真撮影で人がいっぱいだった。
私も高校最後の七菜との写真を撮りたくてクラスメイトに別れを告げ校内をうろついていた。

「祐世くーん」「祐世先輩!」と神崎君の名前を呼ぶ声が聞こえたので視線を向けると神崎君と目が合った。


「悪いけど通して。」


彼女たちの輪から抜け出し私の方へ向かってきた神崎くん。

昨日の事もあり何?なんて声をかけたらいい?なんて脳内プチパニックに陥っているとギュッと強くて温かいものに包まれた。


「やっと捕まえた。昨日もあれから会えなかったし。俺、美月に話あんだけど。」


恥ずかしくて上を向けない。俯いたままコクンと頷いた。それなのに神崎君は腕の中から私を開放してくれず、周りに他の生徒たちがいるのにも気にせずそのまま話を続けだした。


「美月、高校に通ってる間は前みたいに美月に迷惑かけると思って我慢してた。・・・・、美月、好きだよ。俺と付き合って?彼女になってくれる?」


思わず顔を上げたが、すぐ目の前に神崎君の顔があってまた俯いてしまう。


「美月?返事してくれないの?俺じゃダメ?」


咄嗟に首を横に振った。


「ははっ、美月耳まで真っ赤。・・・、うーん、美月の顔見たいな、上、向いてよ。」


おずおずと顔を上げるとチュッと唇に柔らかくて温かな感触が・・・。


「好きだよ、美月。」


目の前にあった彼の顔がもう一度近づき唇に柔らかな感触を感じた。

周りからは女子達の『キャー!』『イヤー!』と叫ぶ声に男子たちの冷やかしの声が。やっと私の脳が動き出した。離れようと彼の胸を押してみるが腕どころか唇も離されない。ドンドンと力強く胸を叩きやっと唇が離された。


「人がいっぱい・・・。」


そう答えた私の手を引き神崎君は校舎の裏へ私を連れてきた。


「美月、もう一回。」


私を抱き寄せ唇を重ねた。

初めて会った時にされたような熱くて濃厚なキス。
あの時は驚きと嫌悪感しかなかったのに今は恥ずかしさと幸せでいっぱい。

いつから私の気持ちは変わっていたのだろうか。




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