俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。

祐世side23

映画を観てショッピングをして、最後はmoment de joieでディナー。

久しぶりの美月とのデート、待ち合わせてすぐは何処かぎこちなかった。

『話がある』と言った事が気になって仕方がないのだろう。
せっかくやっと会えたのに話だけして俺が帰すわけないだろ。


「あー、落ち着いて話聞いてほしいし、久々のデート楽しんでからの方がいいかな?」


そう言うと初めこそ意外そうな顔をした美月だったが、ショッピングをしている間にいつもの美月に戻った。そしてディナーを食べ終えデザートになったところで話を切り出した。


「美月、俺の仕事の事なんだけど。」


ビクンと肩を揺らし『うん』とだけ返事を返す美月。
本当の事を伝えたらどんな反応が帰って来るのか・・・。


「俺も有知商事で働いてるんだよね。」

「はっ?えっ?」


目を瞬かせ全く動かなくなった。
俺が言った言葉を精一杯、脳内で考えているんだろう。


「でも、入社式にもいなかったじゃない。」

「うん。俺は普通の社員扱いじゃないから。」


首をひねり怪訝な表情をさせている。
そして何か思いついたかのように俺の顔を見た。


「横井君が言ってた・・・、今年入社の中に次期社長候補の社長の甥っ子がいるって・・・。その人は去年から大学の空き時間に仕事を始めてるって・・・。祐世も去年の一月からバイト辞めて・・・。」


俺が思ってたよりも多くの情報を美月が知っている事に驚いた。
横井って言ったか、確か新入社員で営業に配属された奴だよな。
美月とそんな話もするくらい仲がいいのか?
気にはなるが先にちゃんと美月と話をしないと。


「俺の事。怒ってる?何も美月に伝えず来たこと・・・。」


じっと俺の目を見て話を聞いていた美月だが何か考え込むように俯き一向に顔を上げなくなった。


「美月がうちにインターンに行くって聞いて、しかも内定貰ったって聞いて日に日に言い出せなくなった。・・・、美月、俺の実家の事知ってる?」


やっと顔を上げた美月だが急に実家の話をされて意味がわからないと言った感じだ。


「地元でもさ、結構手広く商売してて有名なんだけど・・・。それで中学に入った頃から家の事を知ったうえで俺に取り入ろうとするやつが結構いて、美月はそんな事しないってわかってたけど、逆に知ったら離れられるような気がして言えなかった。・・・今さら何言っても言い訳とか後付けとかにしか聞こえないかもしれないけど。」


その後も俺の言い訳のような話を何も言わずに黙って聞いてくれる美月。
デザートも終わり余り長居をするのも悪いので家に場所を移して話をするため店を出た。
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