俺様めちゃモテイケメンが一人にはまったら。

美月side24

あの日、携帯から聞こえてくる社長の声を聞いて私と違う世界に祐世が行ってしまったようで胸がギュッと締め付けられ苦しくなった。

だから電話中の祐世からそっと離れ一人家に帰った・・・。

何度も電話が鳴り、メッセージも送られてきていたが、電話に出る事もメッセージを読むことも出来なかった。

その後も毎日【ちゃんと話がしたい】とメッセージが送られてくる。

だけど返事が出来ない。

どうしてもネガティブな考えしか浮かばず、最悪な状態になる事にも覚悟が出来ずズルズルと一週間過ごした。

研修を始めて二週間、配属される部署が発表された。


「荒木は一課、仁見と折原は営業部に配属が決まった。二人は荒木に付いて後で営業部に挨拶に行くように。配属は来週月曜からだ。頑張れよ。」


二人とも営業?と周りの人もざわついている。
もともと今年は一課にいた秘書が一人退社したので荒木さんが二課から一課に移動でその穴埋めで新人が二課に配属されたのだ。
秘書課は元々多くの人数を置かない。
必要最低限の人数に絞られており、通常なら一人辞めたら一人補充なのだそうだ。
だが今年は例外にも二人の補充。しかもその二人ともが営業部に配属とは本当に珍しい事だと秘書課主任の宇留島さんから聞かされた。

朝のミーティングが終わり荒木さんと共に営業部に挨拶に行く。


「週明けから私の代わりに、この二人が営業担当になりますので、よろしくお願いします。」


荒木さんが営業部の皆の前で紹介してくれた。


「仁見凛です。よろしくお願いします。」

「折原美月です。よろしくお願いします。」


営業部は一課から三課まであって広い。
当たりを見回すと奥の方に横井君が見えた。
祐世も営業一課だと言っていたが見当たらない。

でも心の奥で少しホッとした。まだ心の準備が出来てないから・・・。




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