交錯白黒

捨て子。

使える、と思った。

精神的に追い詰めて、蹴落としてやる。

情報源は、少々怪しいが保護者懇談会、ということにした。

皆、心の裡では少なからずあんたに思うところがあったようだが、あんたはそれを勉学という、現代社会において最も強いと言っても過言ではないカードでねじ伏せていた。

だから、私達はそれに縋り、団結し、悪意を剥き出しにできた。

安心感は、人間が最もガードが緩くなるサインだ。

だから、自分だけじゃない、という無根拠の自信を駆り立て、周囲の人間を味方につけた。

正直、この程度のまやかしは見抜かれるかと危惧していたが、捨て子という事実がバレた衝撃のほうが大きかったのか、あんたは気にせず、ちゃんと騙され、そして少しずつ崩れていってくれた。

あんたは気丈を演じていたみたいだけど、段々顔色が悪くなったり、体調を崩すことが多くなっていた。

私はあんたの持病のことは知らなかった。

だから、急に激しく苦しみだしたときは吃驚して怖かったけれど、そこで引く訳にはいかない。

やっぱり、皆あんたには嫉妬していたみたいよ。

順位が落ちていく様、清廉な白女王が乱れ崩れていく様を見て、初めは無反応だったクラスメートも私に味方するようになった。

橘琥珀には面倒なので見せないよう、気を張っていた。
  
まあ結局、見つかったわけだけど。

彼は服従していた、完璧に。

皆がクールの狭間に見てきた彼の強い正義感と、優しさが純粋な恐怖に敗北した瞬間だった。

まあ、あれはあんたが悪かったんだけどね。
 
傷つけないでくれ、って、そう頼んできた筈なのに、自分から見捨てた。

つまり、こういうことをしろっていうことよね。

私はそういう風にあんたに言ったし、そう思っていた。

全く、いい気味だわ、WhiteQueen様?
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