激おこ転生幼女のモフモフ無双!
「なに、そう勘ぐらずとも別段の意味などない。……ただ、時の流れというのは早い。なにせもう、十一年だからな」
 ドクンと胸が小さく跳ねる。
「奴の骸を胸に抱きながら、お前が志半ばで散った奴の意志を継ぐと剣に誓いを立てた。あの時の光景を、僕は今でもまるで昨日のことように覚えている。なぁフレディ、ミレーヌの腹の子が男児であったら、奴の名を与えようと思っているんだ。そうすれば、再び奴が息を吹き返すような気がするだろう?」
「……いいえ、陛下。兄が息を吹き返すなどと、願う必要はありません。俺自身、長らく思い違いをしていたのですが、そもそも兄の志は潰えてなどいなかった。何故なら兄の志は今も、俺の胸の中でしっかりと生き続けているからです。そんなふうに、兄は今後も人の心の中にのみ、生き続けていけばいい」
 陛下は眩しい物でも見るようにスッとブルーの双眸を細くして、ドラゴンに抱きついて笑い声をあげる少女へと視線を向けた。
「なるほどな。本当にたいした少女だ」
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