ラグジュアリーシンデレラ
そしてバケツに水を張ると、またあの事件を思い出す。

「ふっ……」

私がいなかったら、あの書類どうしていたんだろう。

考えると、笑えて仕方がない。


そして私は、インテリジェンスのオフィスに入った。

バケツの中の雑巾をしぼって、窓のサッシを拭いて行く。

仕事は掃除機をかける事と、窓のサッシを拭く事だから、もう仕事にも慣れた。


その時だった。

「あっ……」

後ろから声が聞こえてきて、私の身体がビクついた。

慌てて後ろを振り向くと、この前の人が立っていた。

「この前の人!」

「はい……」

それはこっちの台詞だよと思いながら、手を止めた。

「よかった。また会えて。掃除している人って、なかなか会えないんだね。」

「皆さんが出勤する前に、掃除するので。」

「そうだよね。」

改めてその人を見ると、やっぱりカッコいい。
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