ラグジュアリーシンデレラ
井出さんって、強引なところもあるんだ。

「ほら、仕事しないと久子さん、来るよ。」

「あっ、そうだ。」

バケツを持って、井出さんのオフィスを出ようとした時だ。

「結野ちゃん、ここにいたの?」

斉藤さんが、オフィスを覗いた。

それを見て、私と井出さんは、プッと笑ってしまった。

「えっ?何?」

「何でもないです。」


私は晴れた気分に、足取りも軽い。

そうだよ、井出さんに誘われても、美味しいモノ食べられるくらいの気持ちでいないと。

今日も、美味しいモノ、たくさん食べさせて貰おうッと。


そして仕事が終わって、12時過ぎに、正面玄関に着いた。

「結野ちゃん。」

見ると、井出さんがもう、正面玄関に立っていた。

「井出さん。今日早かったんですね。」

「午後、休みを取ったんだ。これで結野ちゃんと、ずっと一緒にいられるよ。」

「えっ……」

これは、軽くデートしようって言われてる?
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