ラグジュアリーシンデレラ
「ファンって……」

井出さんは、私にファンだって言われた事、少しがっかりしている。

「だから、好きだけど、それはファンとしてです。」

そう言えば、井出さんの事好きでいられるし、井出さんだって分かってくれる。


「随分、都合のいい言葉だな。」

「そうですか?」

なんか、井出さん怖い。

「でもまあ、いいか。こうしてまた、会えるようになったんだから。」

「ははは……」

ぐいぐい来そうな感じも、ファンは止めてくれる。

井出さんが言った通り、都合のいい言葉かもしれない。

「じゃあ、ファンの集いをしよう。」

「へ?」


ファンの集い?

アイドルでもないのに、どうして?


「今日、正面玄関で待っているから。来て。」

そう言って井出さんは、私の返事を聞く事もなく、自分のデスクに行ってしまった。

きっと、お断りは聞かないって言う事?
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