ラグジュアリーシンデレラ
翌週から私は、バイトを16時までにした。

お昼はお弁当を持って来て、斉藤さん達と休憩室でお昼。


井出さんの事はと言うと……

遠くで見かける度に、頭を下げて挨拶をする程度。

井出さんが私に近づこうとすると、私が遠くに離れるから、今のところ話さなくて済んでいる。


井出さん。

今でも好きだけど、恋愛できないのに、ファンですって近づいたのが悪かった。

遠くから見ているだけなら。

それだけなら、いい。


「それで本当にいいの?」

斉藤さんが、私の脇に立った。

「なんだか結野ちゃん見ていると、切なくなってくるよ。」

「いいんです。これで。」

すると斉藤さんが、私の顔を覗き込んだ。

「結野ちゃん、なんだか顔色悪いね。」

「そうですか?」

そう言えば、さっきから体がフラフラしている。

「休憩室に行って……」

斉藤さんの顔が、揺らぐ。


その瞬間、私は廊下に倒れてしまった。
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