ラグジュアリーシンデレラ
そんなある日の事だった。

いつものように、38階の清掃をしていた時だ。

窓のサッシを拭き終えて、会議室から出てきた時だ。


「わっ!」

「きゃっ!」

誰かにぶつかってしまった。

「すみません。」

「いや……」

そこには、一目でカッコいいと分かる人がいた。

黒髪のふわふわ髪、鼻が高くて凛々しい顔立ち、特に目が印象的だった。


「濡れませんでしたか?」

「俺は大丈夫だったけれど、書類が……」

「書類?」

見ると、書類がバケツの中に浮いていた。

「きゃああ!すみません!」

「いや、俺が勝手にぶつかったから、君は悪くないんだけど。」

その人は、バケツの中から、ずぶ濡れになった書類を取り出した。

「こりゃあ、乾かすよりも、新しくプリントアウトした方がいいな。」

「本当にすみません。」

私は謝るしかなかった。
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