ヤンデレ彼氏の育成方法
A:彼女のタイプになりましょう
「陸斗」


そう呼ばれる度にキュンと胸が鳴る。
女々しい、なんて思われるだろう。

でも、僕より彼女の方がかっこいい。
女々しくていいのだ。

彼女はかっこいいのだから、男らしくてもいいのだ。

僕は、それが、好きなのだ。


「怒ってる?」

「...なんで最近帰るの遅いの」

「拗ねてるのね。
最近ショッピングモールの注文が入ったんだ」


彼女はセンスが良い。
このマンションの一室だって、家具一つ一つ彼女がこだわって選んだ。

質素、でも綺麗。

そんなセンスの良い彼女にとって、インテリアデザイナーというのは天職だ。

忙しくても、喜んで貰えるのなら、と。

彼女は中小企業の社員だ。
かなり人気がある。

大学の時も、建築デザイン学科の子が、可愛くて技能もあると有名だった。


「しばらくは忙しいし、たまに帰って来れない」

「やだ、毎日一緒に寝たいもん」


いつも僕は楓にわがままをいう。
困った顔をして、頭を撫でて、優しくしてくれる。


「でも帰ってきても夜中だし」

「待ってる」

「医者が医者にかかるなんて笑い話だよ」


僕は小児科&内科医。
夜勤はお断りしているし、19時前には基本帰ってきている。

彼女は終電間近か、終電かで帰ってくることが多い。

寂しい、寂しすぎて死にそう。

依存してるのは僕だけ、なんて思ってしまう。


「そんな顔しないの。
このお仕事終わったらたっぷり時間あるから」


その甘い希望を持たせる言葉に、僕はいつも飲み込まれてしまう。
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