ヤンデレ彼氏の育成方法
「てことで、婚姻届貰ってきた」

「仕事終わりに?」

「仕事終わりに。」


ぐでーっとソファーで伸びる楓の上に乗る。
うぇっと痛そうな声を出した。


「医者ってそんなに忙しくないの」

「特に小児科医はあんまりないよ。
今の時代子供は元気でいいねぇ〜」

「...なんかうざい」


ペンケースとって、と楓が手を伸ばす。
楓から降りて、僕は楓のカバンを漁った。


「えっ、婚姻届ってシャチハタじゃだめなの」


スマホでなにやら検索している彼女が頭を搔く。


「うぅん、三文判あったかなぁ」


そう言って自室に入っていった。
僕も【婚姻届 書き方】で検索する。

確かにシャチハタは悪い訳では無いが、ダメな場合もあるそう。

ゴム印とか、めんどくさいんだな...判子って。


「三文判あった」


そう言ってソファーに座る。
...僕の足の間に。


「婚姻届って書くとこ多いね。
両親の名前とか覚えてないや」


明日戸籍標本貰いに行くかぁ、とぐっと伸びた。


「ほんとに結婚してくれるとは思わなかった」

「なんで?」

「だって楓、興味なさそうだったもん」

「あんまりにも陸斗の話の振り方が下手すぎて流してただけだよ」

「えぇっ、それはそれで酷いよ」

「ふふ、そうかもね」


足の間に挟まる楓をぎゅっと抱きしめる。
そしてそっと呟いた。


「愛してる...絶対離してやんないから」

「離れるかどうかは...陸斗次第だよ」

「ねーぇ、なんでこんなときまで冗談言うの」


そう笑いあって、どちらともなく僕達はキスをした。
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