密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

 ちょっと残念そうな煌人を励ますように、「ほら、煌人はどの部分を食べたいの?」と聞く。なにを隠そう、今日のケーキは、シュワレンジャーのキャラクターケーキ。

 帰宅前に立ち寄った近所のケーキ屋では、リクエストした絵や写真をチョコレートと着色した生クリームで表現してくれるキャラクターケーキが大人気で、私は煌人のために何カ月も前から予約していたのだ。

「僕、ジンジャーエールゴールド食べる!」
「よーし。じゃあママは、紅一点のレモンスカッシュイエローにしようっと」

 笑顔を取り戻した煌人に安心しながら、絵を崩さないよう注意深くケーキに包丁を入れた。

 ケーキも食べ終わり午後九時半を過ぎると、煌人は電池が切れたように眠ってしまった。

 私は食事の後片付けを済ませ、静かなリビングでひとりになったところで、部屋着のポケットに入れっぱなしにしていたプレゼントの箱を取り出し、ローテーブルに置く。

「なんだろう」

 ニューヨークで付き合っていた頃はクリスマス前に別れてしまったので、こうしてプレゼントをもらうのは初めてだ。

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