密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

 ところが、耳に当てたスマホから聞こえてきたのは、お決まりの定型文を読み上げる機械的な女性の声だった。

『おかけになった電話は、現在使われておりません』

 頭の中に思い描いていた新店舗のビジョンが、瞬時に色あせていくのを感じた。

 その中には、生き生きと働く雛子の姿もあったのに……やはり、俺たちの人生はもう二度と重ならないのか?

 しかし、拒絶されたとは信じたくなくて、彼女の働く店の番号にもかけてみた。そちらは無事に電話がつながり、男性が応対したのだが……。

『ああ、雛ちゃんね。辞めたよ、つい最近のことだ。悪いが、それ以外のことはなにも話せない』

 そう冷たく言われ、無情にも電話は切られた。今の相手は、おそらく雛子が師事していたバリスタの男性だろう。

 俺から連絡があることを見越して雛子が口止めしたのか……?

 それにしても、辞めた? なぜだ? あの店でコーヒーを淹れ続けたいから、俺と別れたんじゃなかったのか……?

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