アイツの溺愛には敵わない
「ま、まさか。綾芽ちゃんに嫉妬するなんて」
「嫉妬に性別も年齢も関係ないと思うよ。それだけ映結ちゃんのことを大事に想ってるんじゃないかな」
綾芽ちゃんはニンマリと笑みを浮かべながら私の肩を指でツンツンと軽くつつく。
「だって、映結ちゃんに向ける表情や態度は、他の人に対するそれと比べて異次元レベルの違いだから。真浦くんの溺愛っぷりが伝わってくるよ」
「溺愛!?そ、そうなんだ……」
学校で。
特に生徒の目があるところではスキンシップは控えめだし、甘えるような声や言葉だって使わないのに。
綾芽ちゃんには、そんな感じに見えているんだ……。
「映結ちゃん、顔が真っ赤」
「恥ずかしいから、あまり見ないで」
私は慌てて両手で顔を覆った。
「なんだか分かるかも」
「なっ、何が…?」
「真浦くんの気持ち。こんなに可愛い映結ちゃんが彼女なら独り占めしたくなるもん。誰にでも嫉妬するのは無理ないなって」
指を少しだけ開いて隙間から綾芽ちゃんを覗くと、目を細めて微笑ましそうにこちらを見ている姿が映った。