アイツの溺愛には敵わない

私には可愛さなんて皆無なのに。


綾芽ちゃんみたいな、誰にでも気さくで明るく優しい女の子を可愛いって言うんだよ。


「ちなみに真浦くんとデートした?お泊まりとかは?」


「ううん、まだ」


あまり大ごとにしたくなくて、期間限定で颯己と同居していることは綾芽ちゃんに秘密のままだけど……


もしそのことを打ち明けたら、かなり驚くだろうな。


「おうちデートとかお泊まりとか、完全に二人きりの状態になったら映結ちゃんに対して超がつくほど甘々になりそう。もしくは…」


「なに?」


「狼になっちゃうかもね」


「颯己が狼…。それって、どういうこと?」


特に狼っぽい要素って持ち合わせてないような気がするけど。


「理性が敗北した時の姿……かな。いずれ、映結ちゃんも実感する日が来ると思うよ!」


「う、うん」


分かったような、分からないような。


スッキリしない気持ちを抱いたまま、ぎこちなく頷いた。


そういえば、今週の土日はお母さんたちが親戚の結婚式で不在になるんだよね。


二日間、颯己と二人きりか。


……なんだか、ドキドキしてきた。


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