アイツの溺愛には敵わない
時間が経つに連れて、穏やかになっていく鼓動の波。
緊張の糸が緩んだためか、今度は次第に眠気が襲ってきて。
しばらくウトウトしていると、フワッと美味しそうな匂いが鼻を掠めた。
これって……。
一気に頭が覚醒した私は部屋を出てキッチンに向かった。
「あれ?はーちゃん、もう具合はいいの?」
「ゆっくり休んだから大丈夫。それより、この匂いはもしかして……」
「そう。今日の晩ご飯は、はーちゃんの大好きなチーズたっぷりのマカロニグラタンだよ」
オーブンを指差してニコリと笑う颯己。
私も思わず頬が緩んでしまった。
メロンパンと同じぐらい大好きなのがマカロニグラタン。
我が家の誕生日やクリスマスには、必ず食卓に並ぶメニューだ。
颯己の手作りグラタンを食べるのは初めてだから楽しみ。
心を踊らせながらオーブンの傍に駆け寄ると、頭をフワフワと撫でられた。
「もうちょっとで完成するから、はーちゃんは座って待ってて?」
「……うん」
何か手伝いたいけど、かえって邪魔になりそうだし……
イスに座って大人しく待っていよう。