アイツの溺愛には敵わない

耳にかかる吐息。


ビックリして振り向いた瞬間、颯己にキスされて心臓が跳ねた。


「暴走しないように抑えてはいるけどね。本当は、はーちゃんにもっと触れたくてたまらない」


「いっ、今……思いっきり密着してると思うけど」


「こんなんじゃ足りないよ。全然足りない」


鼓動が波打つようにドクンと音をたてる。


しばし見つめあっていると、颯己は柔らかく笑って抱きしめていた手をゆっくりと離した。


「そんな不安そうな顔しないで?いきなり襲ったりしないから大丈夫」


「あの……」


「それはそうと、はーちゃんの淹れるコーヒー飲みたいな。引き留めた俺が言うのもなんだけど、お願いしていい?」


「う、うん」


ぎこちなく立ち上がった私は、足早にキッチンへと向かう。


顔は燃えているのかと思うほど熱くなっていた。


凄くドキドキしてる。


だって、あんな射貫くような真っ直ぐな瞳を向けられると思わなかったから。


今のは、狼モードに少しだけ入っていたんだろうか。


動揺しながらコーヒーの用意を進める。


その間、颯己の視線を感じたけれど、そちらを見ることが出来なかった。

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