アイツの溺愛には敵わない
高塚くんが見守る中、ボタン付けは5分ほどで終了。
縫い終えた制服とソーイングセットを返すと、キラキラした目で見つめられた。
「こんなに短時間で仕上げちゃうなんて、琴宮さん凄すぎる!」
「お、大げさだよ…。高塚くんのお姉さんの方がもっと素早く丁寧に仕上げると思う」
「そんなことないよ。このボタン、とても綺麗に縫いつけてくれてるし。本当にありがとう!」
高塚くん、満面の笑みだ。
思いきって声かけて良かったな…。
「それじゃあ、私はこれで……」
立ち上がろうとした時、高塚くんが私の腕を掴んだ。
「ちょっと待って、琴宮さん」
そう言って、慌てた様子でスクバの中から何かを取り出すと私の手のひらにのせた。
2cm四方ぐらいの大きさのものが3個。
どれも黒地に金色の英字プリントが施された包み紙を纏っている。
「ボタン付けのお礼にならないかもしれないけどチョコレート。近所の洋菓子店のものなんだけど、結構美味しいから良かったら食べて?」
「そ、そんな…。お礼なんていらないのに」
「でも、すごく助かったから」
「ありがとう…」
こんなに貰ってしまうなんて、逆に申し訳ない…。
そう思いながらチョコレートをスクバの中に入れた。